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2009.05.07 風神さま
彼は悩んだ。
天国の居心地はそんなに良くはなかった。
痛む脚はあれどもやはり下界に降りて皆と共にホッケーがしたい。

ヘルメットに付いたペンキは拭えばいつだって落とせる。
しかし、心に染みついた敗北感は今ここ、このリンクで以外は拭い去ることができないのだ。

彼は意を決した。
2分という時間は彼にとって数時間、いや、数日、いやいや、数年にも感じた。それとも、永遠。
永遠の時を経て下界への扉は今開かれた。

飛び出した。勢いよく飛び出した。
脚の痛みは最早関係ない。

今この瞬間にも敗北感は心にシミ・シワとなり、更に老けこんでしまうかもしれないのだ。
これ以上の老化は死を意味する。
負け犬で終わってたまるものか!

彼は走った。がむしゃらに走った。杖をかざすことにだけは注意を払って、ただひたすらに桃球を追った。

だがしかし、無情にも終了のホイッスルがリンクに鳴り響いてしまう。

いやまだだ。まだチャンスは残っている。
PS戦に突入だ。
俺が決めてやる。
この戦いに、そして、己の老化との戦いにも、すべてにここで終止符を打ってやる!

彼は向かう。
若返りの扉を通しはせんと立ちはだかるゴールキーパーへと。

狙うは、明日への扉。未来への希望。

彼の心は今完全なる無だ。彼の精神は無我の境地へと達していた。
今の彼には後光が差して見えた。

皆が期待する。
頼む、決めてくれと。

突風が巻き起こった。
彼の研ぎ澄まされた精神が呼び起したのだ。
目も開けていられないほどの突風が会場全体を覆い尽くす。




ズバブンッ!!




・・・結局彼はおじいちゃんのままだった。
心なしか更に老けこんでいた気がした。
皆がっくりと肩を落としていた。
彼に至っては肩を落とすどころか全身が地面にめり込んでいた。


だって、空振りしちゃったんだもん。

Fin

※この物語は事実100%です。
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